『Honny Cocktail』2004.12.19

 


注:成人向けの表現が含まれます。 ご注意下さい。




 ―― Honny Cocktail ――



 八戒は野菜が好きだ。 だから、八百屋には毎日のように行ってる。

「やっぱり、新鮮じゃないと、ですから。」

 なーんつって、ツラっとうそぶく笑顔が、何か企んでるように見えるのは、俺の被害妄想か?
 ま、ソレは置いといて。
 とにかく毎日通ってりゃ、当然八百屋のオバチャンとも顔見知りになっちまうワケで、オバチャンから見りゃ、キレイな顔していつもニコニコしてる野菜好きのオニーチャンを嫌うわけも無く、自然と店先での無駄話も長くなる。
 付いてきた俺は、無意味で無駄な時間を今、二十分ほど過ごしたトコ。 踏み消したタバコも六本目。

「今日のお勧めはトマトだよ! おいしいよぉ!」

 おいおい、ここまでナニをくっちゃべってたワケ? 今ごろンなって、『オススメ』の話かよ。

「じゃ、今日はトマトサラダにしようかな。」

 コイツも今までナニ喋ってたの? ってカンジなんだけど。
 ・・・と、路地の向こうからデカイ荷車を引いたオヤジが来た。 この路地は狭い。 通り易いよう、俺は八戒の腰に手を回して引き寄せ、少し道を広く空けさせた。 おしゃべりは止めずに、笑顔のまま、八戒が俺をチラッと見る。
 (コレは好き、ね。 OK、了解)

「うち、明日休みだからね。」
「じゃあ、明日の分も買っておかなきゃ、ですねぇ。」

 腰に回したままの手を、さりげなくケツに伸ばす。 妙に晴れやかな笑顔で、八戒が俺を見た。
 (あ、ソ。 これはNGなのね。 ハイハイ)
 俺は八戒から手を離し、小さくバンザイをして降参をアピール。

 ったく、我侭な奴。
 意地でも感情を表に出しやがらねぇ。 特にこういう公衆の面前ンなると、徹底してるわ。 ここまで来ると、強情と言ってイイわな。
 大体さ、根本的に無理があると思うのよ? 笑顔の種類で感情を理解させようなんてのはサ?
 ンでも、いつのまにか、大体解かるようになっちまってる俺ってナニ? みたいな。
 八戒と暮し始めて、一年とちょっと。
 ・・・必要に迫られると、人間、ナントカなるモンで。

 基本的にはさ、感情の起伏の激しい奴だっつー事は、解かってるわけ。
 夜中に夢見て泣きながら起きたり、空き缶、灰皿にしたくらいでイキナリ怒り出したり、三日ぐらい口きかなくなったり、挙句の果てに部屋に閉じこもって出てこねぇとかさ。
 自分の感情、コントロール出来てねぇの。
 そのくせ、世間的には感情を顔に出すまいと、決めてるらしい。 いつからンなこと考えてんのか知らねぇけどさ、はた迷惑なのよねー。
 なにしろ強情な奴だから、自分で決めたことは押し通すのよ。 んだから、考えてることがまんま表情に出ることはまず無いワケでしょ?
 けど、ジツハ内心ぐちゃぐちゃだったりするから始末が悪りィ。
 俺あたり、ハッキリ被害者よ? つーか、他にいねぇか。
 居るとしたら、せいぜい悟空かな。 だけど、やっぱ俺が一番苦労してると思う。
 ホント、迷惑極まりないってやつ?

 かく言う俺も、慣れないうちは笑顔なのに眼が冷たいとか、そーゆーコトわかんねぇで、かーなーり、面食らった。 降り回されたっつってイイと思う。 ンだって、フォローとか全くなしだぜ?
 我侭もイイトコだと思わねぇ?

「悟浄、行きますよ?」

 八百屋は終わったらしい。 二日分の野菜の入った袋が、当然のように渡され、当たり前に受け取った。
 おお、結構重いぜ。 ・・・って、ン?
 自覚。・・・・・飼いならされてんなぁ、俺。

「次は肉屋か?」
「そおですね。 さっさと済ませちゃいましょう。」

 八戒は肉屋のオヤジが嫌いだ。

「よっ! 男前! なんだナンダ野郎二人で肉なんざ買いにくんなよ! 早くメシ作ってくれる女ぐらい見つけやがれってんだ甲斐性無し!」
「豚バラの薄切り二百グラムと卵を。」
「あいよ、毎度!」

 ハレヤカな笑顔のまま、ここは三分で終わる。

「後は? どこ行く?」
「僕の用事は終わりですよ。 悟浄は?」
「俺?」
「そおですよ。」
「俺は別にイイや。」

 怪訝な顔で、八戒が俺を見る。
 こういう、素が出る時ってあんの。 地味に快感。

「だって、・・・じゃ、どうして付いてきたんです? いつも買い物なんて来ないのに。」

 うん、可愛いじゃん。 ちょっとぽぉっとして。

「何をニヤついてんです、気持ち悪いなあ。 用事が無いなら、帰ります?」

 おっと、顔に出ちまってた?
 やべ。 ンなコト考えてんのばれたら、こいつ絶対怒る。

「なぁ、ちょっと一杯、呑んでかねぇ?」
「ダメですよ、肉が悪くなっちゃいます。 まったく、それならそうと早めに言ってくれれば、肉は後に回したのに・・・・・。」

 本気で困ってやがる。 うん、そんなアンタもイイよ、八戒君。

「そっか、・・・わり。」
「仕方ないですね。 じゃあ、お酒買って帰りましょう。 僕おつまみ作りますから。」
「おう、イイな、飲もうぜぇ!」

 言いながら、なにげに腰抱いて、引き寄せたりして。 さっき『好き』の顔だったし。

「ちょっ、悟浄! 止めてくださいこんな場所で、もう。」

 思いっきり迷惑ガオ。 こーゆー時だけ、あからさまなのよね。 絶対、計算入ってるって!
 でも良いもんね。 コイツが秘密にしたくても、こうやってりゃ既成事実ってヤツでしょ?
 俺ぁ、皆様に知っててもらいたいのよ、お前が俺のモンだって。
 ンだから俺は離さない。
 耳元に口を寄せ、吐息混じりに言ってやる。

「もうすぐ一年経つな、俺とこうなってから・・・さ。」
「えっ、そうでしたっけ?」

 言うコト可愛くねぇけど、表情が裏切ってる。 ちょっと赤くなって、ラブリー八戒。

「帰ったらサ、俺カクテル作ってやろうか?」
「悟浄が? っていうか、離して下さい、いい加減に!」

 身を捩って逃げた。 でもイイもんね。 口だけ、耳を追っかける。

「そ、俺が作ンの。 八戒のアノ声とラムのカクテル。 蜂蜜入りのあまーいヤツ。 一晩かかるけど?」

 八戒、バッと身を離した。 真っ赤になってンぜ? めずらしー・・・・・・・って、

「おい、どこ行くんだよ!」

 うわ、振り返らねぇで、ずんずん行っちまうよ!

「ちょっ、待てって!」

 地雷踏んだ? つーか無視かよ!
 でも、方向からして家に帰ンだろ? ・・・・・だよな?


 家に着くと、笑顔の八戒が待ってた。
 ・・・・言いたくねぇが、ヤバイ笑顔だ。 碧の瞳が冷たい。
 肉と野菜を俺からもぎ取ると、冷蔵庫にしまいながら、知らない奴が聞いたら、『ニコヤカ』にしか聞こえないに決まってる声で言った。

「さて、悟浄?」
「・・・・・ハイ?」
「どういうつもりだったんですか? 衆人環視の中でのあの言動は?」
「ハァーン、二人っきりだったら、OKだったんだ?」
「そういう問題じゃ無いでしょ? はぐらかさない!」

 やばい。 タメ語になってるし、笑顔に凄みが・・・・・!
 俺はいともカンタンに降参した。 こーゆー時、頑張っても、意味、無えから。

「いや、だからさ、八戒と歩きたかったんだよ! 単に、俺は!」
「はい?」
「んで、お前があんまり可愛いから、ちっとイジリたくなっちまったの!」
「・・・・・・・。」

 笑顔が消えた。 瞳は冷たいまま。 焦って俺は続ける。

「だって、最近お前忙しそうだったし! 三蔵のバイトで出ることも無かったし!
 一緒に出かけたりとか、無かっただろ?
 ほっときゃお前はマイペースで生活楽しんじゃってるカンジだしさぁ! テキトーな口実もねぇし!
 デートってヤツ? っぽいコトしたいかなーって・・・マジで怒ンなよ、ったく!」

 口だけ歪めるように笑って、冷たい瞳のまま、凄みのある表情の八戒。
 ・・・・俺、なんか間違った?

「・・・可愛いのは、悟浄じゃないですか。」
「へ?」

 言ってるコトは良さげなのに、眼が怖いんですけど!

「何でしたっけ? あまぁいカクテル、でしたっけ?」
「は?」
「さっき、作ってくれるとかナントカ、言ってましたよね? 舞台設定、間違ってましたけど?」
「あ、あぁぁ、言った! タシカに言いました! 言う場所も間違えてました!」
「美味しいんでしょうね? 家に帰るまで待てなかったくらいなんだから?」
「ンぁ?」

 ゆっくり、近づいてくる。 表情は変わらない。 ・・・ダメだ、意味解かンねぇけど、怖えぇ!

「まさか、碌でも無いたわ言をほざいてた、ワケじゃ無いですよね? あんな場所で?」
「イヤ! ・・・ほざいてたかも・・・・?」

 もう、至近距離。 あー俺たぶん、一生こいつに勝てねぇと思う・・・。

「自覚ありつつ言うなんて、良い度胸じゃないですか? ・・・・そういうとこ、子供みたいで可愛いですよ? 悟浄。」

 目の前で、いきなり上機嫌の笑顔になって、俺にキスした。 ついばむような、キス。
 ―――なにィ!?

「そういうコトなら、ちゃんと言ってくれなきゃ、ですよ? 最初から素直にそう言えば、デートっぽい事、出来たのに。」

 八戒からキスって、始めてかも?
 ・・・つーか、なんだよ、そーゆーコト?
 ったく、クソ意地悪い野郎だぜ。 マジでビビっちまったじゃねぇかよ!
 思いっきりホッとして一瞬脱力したけど、八戒見てたら、俄然やる気になっちまった俺。
 ンだって、なにげにほんのり上気した頬が、白い肌に映えて妙に、キレイだったのよ?
 あごに手をやり、少しだけ上向かせる。 今度はこっちから唇を頂きましょう!
 まずは唇を合わせる。 キスするとき、ちょうどイイのよね、八戒って、高さが。
 重ねた唇を更に深く合わせて、口中に舌を遊ばせ、八戒の舌を誘う。 大胆にからみあう舌はやがて離れ、お互いの歯列を探り、口蓋内をさまよって、もっと深く交わろうと角度を変える。
 濃厚な口付けに応えながら、八戒の腕が俺の首と肩にかかった。

「・・・・ん・・・・・んぅ・・・」

 耐えかねたように八戒が吐息を漏らす。
 相変わらず敏感なヤツ。
 やべ。 ・・・・・俺、ノって来た。
 作っちゃうぞお、おにーさんわ。 ・・・・一晩かけて、カクテル。

「八戒・・・。 蜂蜜って、うちにあったっけ?」

 唇を離し、手早く胸をはだけさせた。 首筋から耳にかけて、舌を這わせる。

「ありますけど・・・・・ぁっ」
「・・・なんだ、ここにあんじゃん」

 食卓に鎮座するそれをみつけ、手に取る。
 とりあえずソファまで移動して、八戒を押し倒した。
 改めて、のしかかり、耳朶を甘く噛みながら、白い肌に蜂蜜を垂らす。

「は・・・ぁ! ・・・なに・・・悟浄?」
「カクテルだよ! 作り方、そのイチ。 八戒の蜂蜜漬けを作る。」
「ふざけ・・・・・! ・・・・ぁ」

 ひんやりとした蜂蜜の感触に、八戒がイイ声で鳴く。

「そのニ。 ラムを口に含む。」

 ―――そのまま肌の上で、蜂蜜とラムを混ぜ合わせる。
 舌をたっぷり使うのがポイントっスよ、奥さん!(←って、誰?)

「ぁ! ・・・・ぁ・・・ぁ」
「どう? 美味い? ・・・つか甘い?」
「ン・・・・・・・・・・・ばか」

 八戒のあちこちに蜂蜜をかけちゃ、ラムと混ぜ合わせる。
 ソファが汚れたけど、カバー、洗濯するっしょ? コイツが。
 胸やわき腹、下腹部と蜂蜜ごと舌は移動する。 その動きに反応して、いちいちビクンと身体が跳ねた。 高く、低く、八戒の声がリビングに響く。
 身体を返して、背中から臀部まで、蜂蜜を垂らしては満遍なく舌を這わせた。 ひっきりなしに漏れる声が、だんだん余裕なくなってきてる。
 でも、中心ですっかり大きくなったモノには敢えて触れない。
 太ももから脹脛を経由して、足の指を口に含んだ。

「は・・・ダメ・・・・きたな・・・」

 逃げようとする足を抑える。 こういう、いりくんでるトコは丹念に舐めあげないと蜂蜜が残っちまうからね。 執拗に舌を這わせた。 はん、イイ声で鳴きやがって、ココも好きなんだ、八戒。
 ・・・と、一際高い声がした。 見ると八戒は少し身体をひねって、自分の手で中心を刺激してた。
 俺は足を解放して、八戒の手を中心から外す。

「や・・・・・・」
「ダメ。 も、ちょっと待てって。」

 言いながら手を、ヤツの頭上に抑えつけた。
 体がどんどん上気して来て、赤みを帯びた肌の上でラムが強く香る。
 少しひそめた眉の下で、薄く開かれた碧の瞳が、恨めしげに俺を見る。
 やべ。 超色っぽい。
 ラムの香りと・・・八戒に酔っちまいそー。
 仰向かせて、再び唇を合わせる。 すっかり息を荒くしたまま、待ちかねたように口付けに応える様が、クル。

「カクテルは気に入った?」
「ぁぁ・・・悟浄・・・」
「ン? ナニ?」
「・・・・・・・も・・・・・」

 八戒が俺に、腰を押し付けてきた。 敢えて触れずにいたものが、すっかり求める形になって、下腹部に触れる。 訴えるように、潤んだ碧の瞳が俺を射貫く。

「言ってみな? もう、ナニ?」
「・・・・・意地悪・・・!」
「言わねぇとわかんねぇって。 ほら?」

 耳まで真っ赤にして、俺の髪の中に顔を埋めながら、八戒は囁くような音の無い声で叫ぶ。

「・・・・・・触って・・・・・!」
「カクテルにする? それとも、手がイイ?」
「・・・・・だから!」

 言いながら八戒が俺の耳を噛んだ。 

「はやく・・・!」
「了解。」

 唇がまた、身体の上をさまよい始める。 八戒は焦れたように腰をゆすり、俺を煽ろうとする。
 ばか、ンなコトしなくても、充分キテルっつの! ・・・でも可哀想だから、そろそろ、いくか。
 俺は八戒の中心に唇を触れた。

「ああっ!」

 耐えかねたように、細い悲鳴にも似た声をあげる。 ・・・そんなに、待ってたの?
 既に透明の液体が漏れ出しているソレに、舌を這わせる。 蜂蜜なんか無くても、甘いよ? 八戒。

「・・・あっ! ・・・あっ! ・・・あっ! ・・・あっ!」

 途切れなく漏らされる声の様子からいくと、八戒は既に限界のフンイキ。

「ちょっと、待ってな?」

 言って、俺は身体を起こし、片足を肩の上に乗せた。
 双丘に隠れていたつぼみが露になり、微妙にべたつく肌がぬらりと光を帯びる。
 ほっとくと自分でイこうとするから、手は一まとめにして横に抑えつけた。

「やだ、悟・・・」

 再び蜂蜜を手に取って、露になったソコに垂らす。 ソレだけで八戒は甘い声を漏らした。 黄金色のぬめりを帯びた液体が、さっきまで隠れていたつぼみを彩っている。
 俺はごくりとのどを鳴らして、そこに唇を寄せた。

「は・・・ぁ・・・! ごじょう・・・!!」

 勝手にイっちまわない様に、手を解放して八戒のモノを根元から強く握りながら、つぼみに舌を挿入する。

「いや、放して・・・・! ああ!」
「ダメ。 まだイカせらんねぇよ?」

 唇を放したそこに、今度は指を挿れた。 中はすっかり受け入れOK状態。 指を増やし、イイ所を刺激すると、八戒の身体が跳ねた。 苦しげに寄せられた眉がぴくぴくと動く。 身体全体が上気して、うっすらモモイロに染まる。 蜂蜜の甘い香りと、ラムのやはり甘い刺激的な香りが、リビングに充満してる。
 手で拘束しつづけているモノも、びくりびくりと脈動を伝え、解放を望んでいる事を俺に教えた。
 仰け反るようにして、白いのどを見せながら声をあげる度に動く、のど仏が艶かしい。
 身体じゅう、どこを触れてもびくっと反応する。 そのたびに筋肉が動いて陰影を帯び、俺もイイだけ煽られた。
 もう、嬌声が止む事無く漏れつづけている。 苦しげに、悲鳴のように八戒が言った。

「は!・・・・やめ・・! ・・・くるし・・・・・!」

 もう、鉄面皮は影も形も無い。
 きつく閉じられた瞼から、涙が零れ落ちた。

「イイよ、イキな?」

 拘束していたモノを解放すると、ほぼ次の瞬間、八戒は身体を弓なりに反らせて一際高い声をあげる。

「はあ!」

 白濁した粘液が自らの腹の傷を汚し、それを確かめて俺は、指を抜いた秘所に自分のモノを挿入した。

「あああああっ!」

 イったばかりのクセに、反応良すぎ。
 既に意味ある言葉を紡ぐ事を放棄した口が、あられもなく鋭い嬌声を上げつづけていた。 のけぞって左右に首を振る度、一際高い声をあげる度、のど仏が動く。 陶器みたいに滑らかな肌が、全体に赤みを帯びて、伸ばし気味の黒髪は、汗にまみれて首筋や頬にまとわりついている。
 いつに無くまとわりつくようなその部分は、本人の意思にはたぶん関係なく、俺のモノを吸い込むように刺激し続けた。
 気持ち良すぎ。
 ラムの香気に包まれて、俺も酔った。

 ソファの上で八戒が三回目の絶頂を迎えてから、抱きあげて風呂に連れてった。 シャワーを浴びて、お互いの身体からぬめりを洗い流す。
 八戒はそれで寝るつもりだったみたいだけど、俺は洗いっこしてるうちに、また盛りあがっちまったからさ。
 場所をベッドに移して、気分も新たにもうワンラウンドこなしました。
 さすがの俺も、ハッキリ言って、くたくた。
 八戒は既に意識を手放してたけど、俺もソッコー寝ました。 ハイ。
 いつもは後始末、してやンだけど、無理。
 こんなん、久々だって。
 いやマジで。




「おはよう! メシはぁ?」

 三蔵に付いて遠出をしていたために、一週間ぶりの訪問となった悟空だったが、その様子は全くブランクを感じさせない、十年一日の体だ。

「コラ猿! それ以外の挨拶知らねぇのか、てめぇ?」
「なんだよ、いいじゃんよぉ! つか、猿って言うな!」
「おはようございます、悟空。 食事は用意してありますよ。」
「やった―!」

 いつものごとく、二度目の朝食を堪能しながら、悟空は見慣れた部屋の中に、ハッキリと違和感を感じた。

「ン? なんか、部屋、変わった?」
「いいえ? 別になにも?」

 いつもの笑顔でうそぶく八戒を、信用しかねる眼で一瞥し、悟空はもう一度部屋を見回した。

「あ、わかった!」
「なんですか?」

 間違い探しを見つけた子供のように、嬉々として悟空が大声を張り上げる。

「ソファだよ! 前は白っぽかったのに、今は濃い緑じゃん! 当たっただろ?」
「・・・・・・・・。」


 一瞬の沈黙を、慌てたような悟浄の声が破る。

「ああ、俺がな、ちったあ部屋をオトコらしくしようと思ってよ、カバーを買って来たんだよ。」
「ふーん。 でもなんか、ソファだけ目立つよ? カーテンとかテーブルとかも白っぽいからさ。」
「だから、カーテンも同じ色にすんだよ、コレから! ほっとけ!」
「なんだよ、ンなコトで怒ンなよ!」
「はいはい、悟空? 食べ終わったら勉強を始めましょうね。」
「う〜、はぁ〜い。」

 かくしてスウィートホームのインテリアは、生成り主体のナチュラルカントリーから、濃いグリーンと木目を主体とした物に変わったのであった。




 END 《Honey Cocktail》



 以前書いた『お買い物』が、どうにも恥ずかしかったのでリテイクしようとしたら、ある意味もっと恥ずかしいものになってしまった。 ごめんなさい、筆が滑って。
 こんなの、載せられます?



(プラウザを閉じてお戻り下さい)